個性的なヘアスタイルってなんの事だかわかりますか?
僕にはどうも良くわからないんですよね。
オーダーされると一番戸惑ってしまうかもしれません。
だって
個性的なヘアスタイル
ですよ?
- 外見的な性質
- 内面的(潜在的)な性質
- 髪質
この3つの質が髪型を作る時に重要な素材になってきます。
この素材をもとになりたいイメージを重ねて初めて髪型というイメージは出来上がります。
そんな時に個性的な髪型というのは考えれば考えるほど・・・
とても難しいんですよね。
髪型で個性をだそうとすればするほどむしろ個性は育たない。
長年美容師をしているといつもそう思います。
個性的なヘアスタイルにしたがる人の心理
実は普通な人ほど個性的な髪型にしたいという願望を強く抱く傾向にあるんですよね。
こんな事をいうと
「ふざけるな!冗談じゃない!俺は(私は)普通じゃないよ!?自他ともに認める変わり者だよ・・・、あぁもう!わかってないなぁ・・・」
などと怒ってしまう人がこのタイプには多いので面と向かっては言いづらいんですよね・・・
でもやっぱり人間は深層心理で無いものを欲してしまうものなんですよ。
自分はその他大勢の人達とは違うはずだ
と思いたい気持ちと
自分はなんのとりえもない平凡な人間だ
という気持ちの葛藤が源泉となって人は外見に個性を求めてしまうんですよね。
心理学でいう・・・
なんだったかなぁ〜
忘れてしまいました。
とにかく自分はその他大勢の人とは違った独自な存在なんだよ・・・
みてくれよ・・・こんな髪型してる奴他にいる?
やっぱ俺って(私って)個性的だよねー?
誰か個性的だって言ってくれよ・・・!?
こういう強い承認欲求がその背景にはあります。
でも、
やっぱりそれは自分の個性を消してしまう第一歩になると僕は思っています。
『個性的な髪型』と『人と違う髪型』は違う
個性という本来の意味は個人、または個体に備わった、そのもの特有の性質の事ですよね?
人と違ったのが個性という考え方は間違っています。
例えばある村に1人だけ黄色い髪の色に染めている人がいるとしたらそれは個性的と言われるかもしれませんね。
でも隣の村にも同じく黄色い髪に染めている人がいたらどうですか?
2人が出会うと黄色い髪の毛の人が2人になりました。
まだ個性的ですか?
どっちかって言うとカブっちゃった・・・って感じ?
では、50の村から集まった50人の黄色い髪の人がいたらどうなんでしょうか?
むしろその50人の中に1人だけ髪を染めていない黒髪がいたらその人こそ個性的だという事になりますよね。
だって人と違うのが個性的なんでしょ?
何もしていない黒髪の人が個性的な人という事になるけどいいんですよね?
ほら。
やっぱり個性的である事とマイノリティである事は違うんですよ。
同じように奇抜なのが個性かというとやっぱり違います。
例えばある村に1人だけ逆モヒカンという奇抜な・・・(以下同文)
まぁ、そういう事です。
個性的である事とエキセントリックである事はやっぱり違うんです。
さて、
ここで改めて考えてみてください
個性的なヘアスタイルってどんな髪型の事ですか?
最初よりも少しわからなくなってきましたか?
『個人、または個体に備わった、そのもの特有の性質』
それが本当の意味での個性でしたよね?
プロの美容師目線でいうと個性的な髪型というのは2つの事を意味します。
固有の髪質を強調するという意味での個性的な髪型
真っ黒い髪を透明感のあるアッシュに染めたり、まっすぐでサラサラな髪をクルクルなハードパーマに変えてしまう事は髪の毛本来の個性を消してしまう事になりますね。
真っ黒い髪をもっているならそれを強調していくようなスタイルこそ個性的です。
例えばエッジなラインの効いたシャープなボブ。
ストレートな猫毛ならロングにして風で思い切りなびくようなカットにすると髪質の個性が際立ちますよね?
あえて本来の髪質を強調していくのが個性的なヘアスタイルだと僕は思います。
外見的なコンプレックスを強調するのも個性的な髪型
もっと個性的なのは身体的なコンプレックスを強調していくような髪型です。
目が離れているなら前髪の幅を狭くしてもっと離れているように見せたり、おでこが広いなら思い切りおでこの広さを強調するように切り込んでみたり。
背が低いならあえてロングヘアで強調いていくのもいいでしょう。
バランスって言い換えると無難って意味です。
もちろん無難にしたい人にはバランスの良いデザインがベストですよ。
でも個性を求めるなら外見的なコンプレックスをわざと強調するって何よりも個性的な事だと思いませんか?
バランスが崩れた時に発生する違和感はひとつの個性的な髪型だと言えます。
いや、違うか、個性的な内面を引き出す髪型といった方がしっくりくるかもしれませんね。
個性的な髪型と個性を引き出す髪型は似ているけどまるで意味合いの違う髪型です。
真の個性はヘアスタイルではなくてアティテュード
流行っている髪型の中にはっきりいって個性的な髪型なんかないんですよ。
流行っている時点で日本中でその髪型をオーダーしてる人が溢れてるんだから。
トレンドという名のもとにビジネス的に量産された髪型です。
トレンドは新たな需要や隠れた需要を生み出しますからね。
有名人の個性的な1枚のインスタからくるトレンドは沢山のビジネスを生み出します。
でもあなたがやりたいのはそんな風に搾取される事じゃないはずです。
有名人の個性を真似するんじゃなくて自分という1人の人間を証明したいんですよね?
では流行に流されない本当の個性とはなにか?
真の個性というのはヘアスタイルや派手な洋服の事なんかではなくてその人が持つ姿勢や考え方、物事に対する態度そのものの事だと思います。
実際に個性的な人って別に人と違った髪型をしているわけでもないし誰も着ていないような服を着ているわけでもないですよね?
普通の髪型にしてもごく普通の服装に着替えてもやっぱり個性的なんですよ。不思議と。
結局アティテュードがにじみ出ているんですよ。オーラの様に。
ちょっとした仕草や目線、言葉の隅々に。
決して流されない姿勢・考え方・態度
アティテュードは流行の真逆にあるものだと僕は考えます。
薄っぺらい流行が及ぶことのできない自分だけの内なる領域に本当の個性は存在するんです。
【結論】個性を求めるなら自分の個性を活かしていくべき
どうでしょうか。
個性的な髪型と個性を引き出す髪型の違いはおわかりいただけたでしょうか?
早い話が個性はアティテュードだという事を言いたいがためにここまで約2200文字をついやしてきました。
昨今あまり個性的な髪型をしていると
あ、何か訴えたいたい事がおありなようですね・・・
などと冷ややかに思われる程度でしょう。
それくらいデザインは飽和しています。
まさに個性のたたき売りですよ。
どんな髪型をしてみてもキチンと行儀良くどこかのジャンルに収まってしまうものです。
あなたが思ってるほどヘアスタイルに新鮮なカテゴリーは存在していません。
そんな事よりも生まれもった髪質を活かしてください。
コンプレックスは特徴にもなります。
できるかぎり活かしてみてください。
あなた自身の個性をシンプルに引き出すヘアスタイルの方がカッコいいと思いませんか?
思わず2度見してしまう人を思い出してみてください。
その人が男性だろうと女性だろうと必ずアティテュードを放っているはずです。
一度覚醒したアティテュードは決して消える事はないんです。
その後どんな平凡な髪型にしてみてもあなたらしさを内側から照らし続けることでしょう。
少し勇気がいるかもしれませんが次回からは美容室でこうオーダーしてみてください
ヘアスタイルで私のアティテュードを引き出して欲しい
と。
